TOPページへ
のれんを使って、上の階へ誘導しよう

 2階建て以上の建物を請け負うと、職人さんたちの交通整理は一段と難しくなります。なぜなら、平屋の場合はいろいろな方向から職人さんが作業現場に行けたのに、2階の場合は階段などの昇降設備からしか行けないからです。当然ながら昇降設備は混雑しますし、混雑は建設進行の敵なのです。そこで、昇降設備にはコーンよりももっと強力な道具を用意しています。それが「のれん」です。


noren1

 のれんは昇降設備にのみ用意されている道具で、指定された業者以外の利用を禁止します。のれんを使えば、うえの階に行ける会社を限定できるのです。のれんをつかうと、うえの階へ行こうとする職人が昇降設備に殺到することはなくなります。また、上の階に大勢の職人がいるときも、同時に下へ降りようとして混雑することはありません。昇降設備を複数配置するように設計されたビルならば、のれんの指定を変えてコーンと併用する事で、複数階を通じた協力会社専用の通行ルートが設定できます。つまり、完成した下のフロアにある資材置き場から、作業現場までのルートを設定することで、効率的な建設ができます。
 のれんのありがたさがもっともわかるのは、鉄骨業者、床業者、外装業者を上の階に誘導したときです。「はなまる工務店」が開発した最新工法では、この三つの業者だけは、下の階から上の階の作業ができます。最初のマップで、平屋の屋根や手すりを作っていましたよね?


noren3

 この工法は、屋根を作るときに、その階へ行く昇降設備が不要なので便利なのですが、それが欠点にもなっています。最初のマップを思い出してみましょう。内装業者が作業範囲を設定してしまったために、なかなか天井ができませんでした。つまり、下の階で作業が重複してしまうために、どちらかの作業が停滞してしまうのです。


noren4

 そこで、床業者や鉄骨業者には、作業が終わり次第、上のフロアに誘導してしまいます。資材置き場も移設して、上の階だけで作業を完結させます。すると、下の階の内装工事も、上の階の基礎工事も同時進行できるので、作業効率がグンとあがります。高層ビルでは、自社員専用のエレベーターを用意して、各フロアに資材置き場を設置し、職人を閉じ込めてしまいましょう。


noren5

 昇降設備で気をつけたいことは、階段やエスカレーターは往復のすれ違いができますが、エレベーターは片道ずつしか使えないことです。エレベーターは1業種に限定したり、特定の2フロア間の往復に限定するなど、効率的な運用を心がけましょう。また、コーンを利用して、エレベーター待ちの職人が殺到しないよう注意しましょう。


のれんのポイント

1.上の階へ行く職人は少なめにしよう

2.1フロアではなるべく1種類の作業をさせよう

3.のれん付近の混雑はコーンで交通整理しよう

4.昇降設備はなるべく自社員を優先しよう

5.エレベーターは、1職種に限定して使おう



のれんのワザ

「鉄骨」「床」「外装」は早めに上の階へ


大切なことは・・。

 さて、今回は建設現場での基本的な操作を解説してみました。もし、何をしたらいいのか判らなくなってしまったら、まず「どうしたら職人さんたちが働きやすくなるか」を考えてみてください。その基本が理解できれば、建物を設計するときも悩まずに済みますよ。では、また来月お会いしましょう!

BACK


Copyright ARTDINK. All Rights Reserved.